第61章 契約書の小さい文字には重要な事が書かれている。
一方その頃、服部邸。
結局この一週間、銀時達万事屋と猿飛はずっと服部邸に滞在していた。葵咲のいる客間に六人全員が集まっている。
葵咲「革命ィィィィィ!!!!!」
四枚のトランプをかざした葵咲はそう叫んだ。トランプゲーム、大富豪の真っ最中である。皆最初は気を張って護衛を行なっていたのだが、あまりの平穏さにその気持ちは萎え、完全に修学旅行気分と化していたのだった。
話は大富豪に戻る。葵咲の出した四枚のカードを見て服部は固まった。
服部「え?ちょ、えええぇぇぇぇ!?」
想定外の“革命”に絶叫するしかない。服部は大富豪で上がる寸前だったのだ。アガリ寸前という事で、持ち札は強力なカードばかり。だがこの革命でそれは一番弱いカードと化す。形勢逆転である。一人慌てふためく服部に対し、他の四人は平然としていた。いや、むしろ笑顔を見せる銀時と神楽。
銀時「おっ。やるじゃねーか。」
神楽「キサキサ流石ネ!」
服部「俺の連続大富豪アガリが…っ!」
今回で五戦目の大富豪。四戦連続服部が大富豪を制していたのだ。それがここでとうとう崩れ去った。これは肩を落とすしかない。しかも今回もぶっちぎりで勝ち越す予定だったのだから悔しくて仕方がない。そんな歯噛みする服部を見て葵咲はフフンと鼻を鳴らした。
葵咲「服部さん。世の中そんなに甘くなくてよ。貴族が貧民を虐げる時代は終わるの。これは全て、私が企てた事なんです。“犯罪相談役(クライムコンサルタント)”の、この市村葵咲がね…!!」
新八「なんでウィリアム気取りなんですか。つーか前半は何キャラ?」
服部「いやいや、そもそも俺ァ悪い事はしてねーからな。」
後半の物言いは間違いなく『憂国のモリアーティ(ジャンプSQ連載中)』のウィリアム・モリアーティだが、前半は謎だった。恐らく葵咲のオリジナルだろう。葵咲は勝ち誇ったような黒い笑みを浮かべながら続ける。
葵咲「これで次の大富豪は私が…!」
そこまで言いかけたところで、銀時がパサッとカードを出す。