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銀魂 - 雪月花 -

第61章 契約書の小さい文字には重要な事が書かれている。


銀時達が乱入したその夜、葵咲の泊まっている客室にて枕投げ大会が開催された。散々楽しんで白熱した後はどっと疲れが吹き出し、皆倒れるように寝入ってしまった。六人雑魚寝状態である。猿飛だけは何故か縛られた状態だ。葵咲は一人目を開け、銀時のイビキ、神楽の歯軋り、新八の寝息を聞きながらじっと天井を見つめる。そしてむくりと起き上がり、一人そっと部屋から抜け出した。

葵咲は一人中庭に面する縁側に座り、夜風に当たりながら空を見上げていた。


葵咲「・・・・・。」

服部「寝なくていいのか?」

葵咲「!」


突如背後に現れた服部の気配に全く気付いていなかった葵咲。流石は忍、物音を立てずに忍び寄るのは朝飯前だ。葵咲は驚いたような表情で振り返る。今まで散々やられっぱなしだった服部にとっては少し嬉しい反応だった。やっと葵咲から一本取れたようなもの。ドヤ顔を見せる服部に葵咲は『参りました』といったような笑みを見せた。


服部「昨日もろくに寝てねぇだろ。」

葵咲「大丈夫です。」

服部「なら、ちょっと話いいか?」


コクリと頷く葵咲を見て服部も葵咲の隣へと腰を下ろす。そして一緒に夜空を見上げながら話を切り出した。


服部「悪いが、お前さんの事を調べさせてもらった。正確には敵さんの事を調べてたら行き着いた、だがな。」

葵咲「…そう。」


全ては予測していた事、いずれはこうなると分かっていたという様子で葵咲は寂しそうな笑顔を浮かべて深く目を瞑る。だが次は少し言いづらそうな顔をしながら、言葉を押し出した。


葵咲「じゃあ…“あの事”も・・・・?」

服部「…ああ。事はまだ終わっちゃいねぇ。まぁ、そんな簡単に終わるような事件(ヤマ)じゃねぇわな。」

葵咲「・・・・・。」


この答えもまた想像の範囲内だったのか、葵咲は特に驚く様子を見せなかった。そしてまた寂しそうな表情を浮かべて地面を見やる。それに呼応するかのように服部もまた視線を地面へと落とした。


服部「真選組を巻き込んだあの事件で、お前さんはまだ真選組(やつら)に話してねぇ事がある…。そうだな?」


そう言って服部は今度は葵咲の方へと視線を移し、葵咲の顔をじっと見つめた。葵咲もまた首を横に向け、服部へと視線を合わせる。そして眉尻を下げながら降参したような笑顔を見せた。
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