第1章 自分のそっくりさんは世の中に三人はいる。
「ホンッッット!に!!すいまっせんンンン!!重ね重ねすみませんでしたァァァァァ!!」
土方「ったく。なんで俺が見ず知らずの、しかも迷惑掛けてきたヤローの分まで払わなきゃなんねーんだよ!」
女の財布の中には125円しか入っていなかったのだった。勿論、自分の食事代もなく、土方が代わりに支払う事となった。
女は定食屋に来る前、アパートの家賃を支払ったばかりだったらしい。
「お金入ったら必ず!必ず返しに行きますので!!」
土方「金が入ったらって?いつだよ。」
土方が女に給料日を尋ねる。
「えっとー・・・仕事が入ったら?」
どうやら女は定職には就いていないようだ。
土方「不確定未来じゃねぇかァァァァァ!!つか働け!!!!!なんなら、今すぐ身体で払ってもらってもいいんだぜ?」
苛立った土方は、ついそんな事を口走ってしまった。女は突然言われたその言葉に、戸惑いの表情が隠せないようだった。ただ土方の目を見つめ、目を瞬かせていた。その表情を見た土方は我に返った。
土方「…冗談だ。今のは忘れてくれ。」
何故自分が突然そんな発言をしてしまったのか。それはミツバを失った直後であり、ミツバに瓜二つの女に出逢ったからなのか、ミツバと似ているようで全く関係のない女だったから出てしまった言葉なのか、それは土方自身にもよく分かってはいなかった。
土方は女の顔から目をそらし、煙草に火を点けた。
土方「まぁ無い袖振れつっても無理な話だ。金が出来たら屯所に…」
土方が最後まで話し終える前に、女が口を開いた。
「それでいいんですか?」
土方は女の発言がよく聞き取れず、女の顔を見返した。
「私、身体で払います!!」
土方「えぇぇぇぇぇ!!??」