第60章 修学旅行の夜は枕投げ。
万事屋三人がこの場に訪れた理由は分かった。
それ自体は理解出来るのだが、窓を破られて突入された事に納得がいかないといった表情の服部。そんな服部には構わず、銀時は葵咲の肩をガシッと掴んで真剣な眼差しを向ける。
銀時「おい大丈夫か?コイツに何かいやらしい事とか変な事とかされてねーか?」
服部「してねーよ!!」
あらぬ嫌疑をかけられ、またもや憤怒。銀時は今度は訝しい目つきで服部の方を見やる。
銀時「今からする気だったって意味じゃねーだろうなオイ。」
服部「しねーよ!仕事!コレ俺の仕事なの!!」
銀時「仕事と称してセクハラする気だろ。男の魂胆なんて見え見えなんだよ。それしかねぇんだよ。男は皆獣だからな。」
服部「てめーも男だろうがァァァ!!」
銀時は葵咲の肩を掴んでいた手を離し、葵咲と服部とを交互に見ながら質問を投げ掛けた。
銀時「つーか、なんでコイツがお前ん家に居るんだよ?仕事って何?どういう事?」
服部「てめーにゃ関係ねぇだろ。」
バッサリ斬り捨てられる問い掛けに、銀時はムッとした表情を浮かべる。
そして服部の方へと近付いて反論を述べた。
銀時「関係なくねぇよ。妹の危険を護るのが兄の役目だ。」
服部「いつから兄!?赤の他人だろうが!!」
銀時の発言に苛立ちながらツッコミを入れていた服部だが、ここで一度クールダウン。腕組みしながら低いトーンの声で真剣に自らの仕事に対する責任感を述べた。
服部「…そこらへん俺は職務に責任持ってんだ。部外者においそれと契約内容喋れるかよ。」
葵咲「私の護衛してもらってるんだよ。」
服部「さらっと喋っちゃったよ、オイ。俺の話聞いてた?」
折角の格好良い真剣トークが台無しだ。葵咲にことごとく自分の会話を妨害される事で涙目になりそうになる。
そんな服部の悲しい心情など誰も理解しようとせず、呟きもさらりと無視されて会話は進んでいく。