第59章 朝食バイキングは無性にワクワクする。
それに対して服部はひとまず土方の心配を拭うように言葉を付け加えた。
服部「心配すんな。他言するような悪趣味は持ち合わせちゃいねぇよ。アンタ、市村が゛あちら側゛の人間だったらどうするつもりだ?」
土方「…さぁな。あいつの出方次第だ。」
服部「場合によっちゃ手に掛ける事もあると?」
土方「・・・・・。」
土方は俯き加減に深く目を瞑り、沈黙を落とす。これは服部の質問に答えられないというよりは、まだ答えそのものが出ていないといった様子だ。土方の表情に迷いが見られたのだ。服部は土方が言葉を返す前に自らの意見を述べる。
服部「…なら俺とアンタが一戦交える可能性もあるってわけだ。」
土方「お前…っ!!」
予想だにしていなかった発言に、土方は思わずバッと顔を上げる。そこにある服部の表情は冗談を言っている顔つきではなかった。その真剣な眼差しに、土方も思わず息を呑む。
服部「俺の任務は市村の護衛だ。あいつやあいつの護るモンに危険が及ぶなら、俺にはそれを護る義務がある。」
土方「依頼人は俺だぞ。」
服部が本気なのは分かっているが、念の為に確認で土方は自分が依頼主である事を主張する。だが服部はニヤリと笑みを浮かべてそれに反論した。
服部「そりゃ契約違反ってもんだ。こっちは市村の護衛で承諾してんだぜ。」
土方「チィッ。…勝手にしろ。」
悔しそうに歯噛みしながら、土方は視線を逸らした。服部は土方への宣戦布告を終え、その場から立ち去ろうとする。だがそれを引き止めるかのように土方は服部の背に話し掛けた。
土方「だが俺も一つだけ言わせてもらう。これは忠告じゃない、警告だ。あまり首を突っ込みすぎると痛い目を見るのはお前の方だぞ。相手は人じゃねぇ。・・・・獣だ。」
服部「獣…ね。ハイハイ。肝に銘じておきますよっと。」
それ以上の会話はなされず、服部は再び屯所の塀を飛び越え、今度こそ自宅への帰路に着いた。
- 次回予告 -
次回、葵咲と全蔵が急接近??
新婚生活のような雰囲気が…♡
お楽しみに♡