第59章 朝食バイキングは無性にワクワクする。
葵咲「あ、そっちは外側の庭に面してるので。立入禁止なんですよね?だから無理でした。」
服部「どんだけ律儀なんだよ!てかじゃあお前、通行可能なところは全部こんな状態にしたわけ!?」
葵咲「はい、まぁ。」
服部「掃除して洗濯して、それからこんだけの料理作ったの!?一体何時に起きたんだよ!?お前昨日俺より遅く寝てなかった!?」
正確な就寝時間は知らないが、自分より後に風呂に入っていた。しかも葵咲は女性。風呂から上がった後の化粧水やら何やら、髪だって服部よりも長いのだから乾かすのに時間が掛かるはず。仮にそれらすぐに終わらせて先に寝てたとしても三時半は回るだろう。そして今朝の洗濯、料理、掃除は屋敷の広さを考えると最低でも四時間は必要だろう。その服部の予想は悪くはなかった。
葵咲「今日はちょっと遅めだったな~。五時半くらいです。」
今の時刻を逆算して考えると良い当たりだ。と、そういう事ではない。服部は葵咲の起床時間と睡眠時間に眼を丸くした。
服部「遅めで五時半んんんん!?」
葵咲「いつもは四時くらいかな?」
服部「マジか!つーか今日の睡眠時間二時間ぐらいじゃね!?大丈夫か!!」
流石に葵咲の身が心配だ。いくら昨日特に疲れる事をしていなかったとは言え、睡眠時間が少ないのは身体に堪える。その事を告げると、葵咲は両手を振りながら笑顔で答えた。
葵咲「昨日はうたた寝もしてたので。」
服部「そんなんじゃ疲れ取れねぇだろ…。」
葵咲「大丈夫ですよ、慣れてるので。」
『慣れている』と口にした葵咲の表情は少し寂しさを含んでいた。だがその表情は一瞬の事で、すぐさま先程の笑顔へと切り替えた。
葵咲「心配してくれて有難うございます。さ、朝ごはん食べましょう!」
服部「・・・・・。」