第59章 朝食バイキングは無性にワクワクする。
濡れた髪をタオルで拭きながらダイニングルームへと足を向ける服部。風呂上りのドリンクは欠かせない。
近くまで来て、ダイニングルームの電気が点いている事に気付く。葵咲が飲み物でも取りに来たのだろうかと思った。だが葵咲はたまたま居合わせたのではなく、椅子に腰掛けて本を読んでいた。
服部「なんだ、まだ寝てなかったのか。」
声を掛けられて葵咲は服部へと目を向ける。そしてにこやかな笑顔で風呂の感想を尋ねた。
葵咲「湯加減どうでした?」
服部「ああ、悪くなかったぜ。」
葵咲「そうですか、良かったです。じゃあ私もお風呂頂戴していいですか?」
服部「おぉ。ゆっくり浸かりな。…ってちょっと待てェェェ!!お前入ってなかったの!?」
お得意のノリツッコミ炸裂。いや、服部じゃなくてもノリツッコミになってしまうかもしれない。時刻は午前三時を回っているのだから。だが、そんな服部のツッコミに対して表情の変化一つ無く、葵咲はコクリと頷く。
服部「いやいやいやいや、いくらでも時間あっただろうが!何してたんだよ!」
葵咲「人様の家にお邪魔して一番風呂もらうとか悪いですし。」
少し困り顔で右手を頬に当てて返答する葵咲。それには服部も身体を仰け反らせながら更にツッコむ。
服部「どんだけ気ィ遣ってんの!?どんだけ真面目なの!今までいなかったタイプだよ!!逆にこっちが恐縮だし!や、確かに何も言ってなかった俺も悪かったけど!そんな気にしなくていいから。明日から自分家みたいにしてくれていいから!」
葵咲「そうですか?なんか色々とすみません、有難うございます。」
申し訳なさそうな顔で葵咲は頭を下げる。そんな律儀で真面目な葵咲に服部は言葉を失った。