第6章 仕事において報連相は何よりも大事。
提出された書類に目を通す土方。その厳しい表情に、不安気な表情で葵咲が尋ねた。
葵咲「あの…どこか間違えてますか?」
土方「・・・・・いや、文句なしの出来だ…。」
まだきっちりと精査したわけではないが、ざっと目を通した段階では申し分ない出来栄えだった。
葵咲「本当ですか?良かったー、会計報告書とか作成したの久しぶりだったので。」
葵咲は胸に手を当てて笑顔を向ける。ほっと胸を撫で下ろしたようだ。土方は真選組での業務の厳しさを実感してもらう為、そして葵咲の力量を測る為にも、わざと提出期限を短めに告げていた。土方の予想では処理までに最短でも一週間はかかると踏んでいたのだが、それをたった一日足らずで仕上げるとは。葵咲の仕事の早さに驚嘆したのだった。
葵咲「他に何かする事はありますか?」
最低でも一週間はかかると思っていただけに、今は他の業務など用意しているはずもない。
土方「いや、今は特にねぇ。」
葵咲「そう…ですか。」
普通なら仕事が終わって自由になったとあれば喜ぶところだが、葵咲は少しがっかりした様子だった。そんな葵咲は何かを思いついたように土方に目を向け、呼びかけた。
葵咲「あの、土方さん。」
土方「あん?なんだ?」
葵咲「食堂の日替わりランチの献立表とか作成してもいいですか?」
土方「なんだ、急に。」
葵咲「今朝冷蔵庫の中拝見したんですが、結構栄養バランス偏ってるんじゃないかなーと思いまして。」
買出しに行く前に台所に入り、冷蔵庫を開けた葵咲が目にしたものは、大量の真選組ソーセージだった。
土方「別にんなもん気にする必要ねぇだろ。」
葵咲「何言ってるんですか。真選組は町の皆さんを護るお役目でしょう?しっかり栄養、体力つけてきっちり健康管理しないと!」
葵咲は両手でガッツポーズをして、献立表を作ることに意気込みを示した。そこまで熱心に言われては仕方がない。そういえばこの女は栄養士の資格も持っているとのことだ。料理をする事が趣味なのだろうか?意外と女の子らしい一面もあるんだな、などと思い、土方は了承した。
土方「・・・・まぁ、別に構わねぇが…。」
葵咲「有難うございます!じゃあ、早速献立表作りますね。」
そう言って葵咲は嬉しそうに自室の離れへと戻って行った。