第58章 To LOVEるは男のロマン。
その場に立ち上がってブチギレる土方を見て服部はひとまず土方の話に合わせる事にした。正直、社内恋愛をまだ疑っている服部だが、これ以上からかっては話が進まなさそうだ。折れた服部を見て土方は煙草の煙を吐き出しながら深く目を瞑る。そして先程の服部の問いに応えた。
土方「お前は醜女好みと聞く。心配ないだろ。」
服部「え。何。そんな情報まで流れてんの?俺の個人情報だだ漏れなの?それにさらっと自分の部下は美人ですっつってんだけど。さり気に部下自慢しちゃってんだけど。」
思わぬ返しに素でツッコむ服部。土方はそんな服部のツッコミには触れずに続ける。
土方「お前は256訓(30巻)でブスッ娘クラブに通ってたと聞く。まず安心だろ。」
服部「読者目線!?どんだけ俺の情報流れてんだよ!つーかもうこれ流れてるなんてレベルじゃなくね!?」
なんだか話が逸れてきたが、ここで話の筋を戻す。土方はスッと切れ長の目を開き、服部の方を見据えた。
土方「…心配するな。女でもうちの隊士だ。そのへんの男よりずっと強ぇ。」
服部「まぁどんな女だろうが構やしねぇさ。俺は報酬さえ貰えりゃそれでいい。与えられた仕事を全うするのみよ。」
服部の承諾を聞き、土方は静かに頷く。そしてそれ以上は特に語る事なく、静かに席を立った。服部も席を立ち、土方を玄関まで見送る事に。屋敷を出ようとした際、土方は何かを思い出したように振り返る。
土方「じゃあ頼んだぜ。ああ、それから…。」
服部「?」
土方「最悪の事態…ここを襲撃でもされねぇ限りは女を絶対に屋敷から出すな。」
服部「! …何故だ?」
妙な注文をつけられる事に不信感を募らせる服部。眉根を寄せて問い返す。
土方「他の奴らとの接触を避けたい。あいつの居場所を悟らせない為だ。それから繰り返しになるが、余計な詮索はするな。それはお前の為でもある。お前はただ女を護れ。いいな?」
服部の問いに対して矛盾のない返答をしている土方なのだが、何処か妙な空気を感じる。服部は何かを見定めるかのように土方の顔をじっと見つめた。だがその場で答えは出ず、服部が問いただす事が出来ないまま、土方は屋敷から出て行った。
服部「・・・・・。」