第57章 先入観で物事を判断すると、ろくな事がない。
そして総悟が刀を構えると同時に、総悟の背後に一番隊の隊士達が現れ、ズラリと構える。
総悟「ヤロウども、かかれェェェエエェェェェ!!!!!」
葵咲「ダメェェェ!!やめてェェェェェ!!!」
葵咲の悲痛な叫び声を聞き、土方はいてもたってもいられなくなる…。このままではあの時と同じだ。高杉と対峙した、あの時と…。考えるよりも先に身体が動いていた。土方は繁みから飛び出し、桂と総悟の間を目掛けて走り出した。
土方「待て!早まるな!!総…っ!」
桂「俺の…俺の肉球は渡さんんんんん!!!!!」
…え?肉球?? 土方は耳を疑う。この場に飛び交うはずのないワードが自分の耳に届いたからである。そして三すくみ状態だった葵咲、総悟、桂の三人もその場で固まる。その場にいると思っていない土方(じんぶつ)が突如現れたからだ。
総悟・桂・葵咲「え?」
その時、山崎が隠れている繁みの真正面にあたる木の繁みが突如ガサガサと動いた。勿論、風など吹いていない。ちょうど土方が飛び出し、向かって行った先にあった為、土方はその繁みの動きを見て反射的に身構える。
土方「!?」
土方は目を疑った。視線の先の繁みの中や、木の上から大量の野良猫が土方の方を目掛けて飛び出してきたからだ。
「ニャーーーーーッ!!!!!」
土方「…えっ?ちょ、…ギャアアアァァァァァ!!!!!」
正確に言えば、土方が桂と総悟の間に割って入っていなければ、総悟に突撃していた野良猫達だった。そこをタイミング悪く、土方が飛び出してきた為、総悟は足を止めてしまい、猫達の一斉攻撃を土方が全て受けるハメになったのであった。