第6章 仕事において報連相は何よりも大事。
その声を聞いた土方は、玄関へと向かい、苛立った様子は隠さずに葵咲に話しかけた。
土方「おい。」
葵咲「あ、土方さん。お疲れ様です。」
土方「何やってんだお前。」
葵咲「?買出しに…。」
土方の表情を見て、機嫌があまり良くない事を察した葵咲だが、何に対して怒っているのか分からなかった為、自分の状況をそのまま答えた。そしてふと気付いて付け加えた。
葵咲「あ、土方さんも何か必要でした?次からは一言声を掛けてから買い物に出掛けるように…。」
土方「そうじゃねぇよ。」
空気を読んだつもりの葵咲だったが、的外れの気遣いに土方は益々苛立つ。自分の苛立ちの原因に気付く様子のない葵咲に対して、土方はストレートに質問した。
土方「昨日渡した仕事、どうなってんだ?」
葵咲「え?」
土方「終わったのか?あれを最優先しろと言ったはずだ。」
葵咲「それならもう終わりましたので…。」
土方「そうか。」
言われて思わず頷いてしまった土方だったが、おかしな会話のやり取りに気付いて、すぐさまツッコむ。
土方「・・・・・は?ちょ、だったらなんで持ってこねぇんだよ!出来たら持って来いっつっただろうが!」
葵咲「え?明日持ってこいって仰ってませんでした?」
そう言われて昨日の自分と葵咲とのやり取りを思い出す土方。『仕上げたら明後日俺のところに持ってこい。』、確かにそう言った。葵咲はこの言葉を『明後日までに』の意ではなく、『明後日、その日に』と捉えたらしい。