第6章 仕事において報連相は何よりも大事。
翌朝、土方は葵咲の様子を伺いに離れの方へと向かった。土方が部屋の前で声をかけるが、応答はない。まだ寝ているのだろうか?そう思った土方だったが、中から全く物音がせず、人の気配もない事から中にはいないようだと判断した。土方は母屋へと戻り、台所などを廻ってみたが、何処にも葵咲の姿は見当たらない。葵咲を探して屯所内をうろうろしていると、縁側で近藤と出くわした。
土方「近藤さん、市村見なかったか?」
近藤「いや、見ていないが…なんだ?デートにでも誘うのか?」
土方「んなわけねぇだろ。」
年中脳内ピンクのお前と一緒にするな、そう言わんばかりの表情で土方は近藤を睨みつける。たまたまその近く、庭先でミントンの素振りをしていた山崎が素振りの手を止め、土方の方を向いて口を開いた。
山崎「葵咲ちゃんなら、さっき買出しに出掛けましたよ。」
土方「買出し?何やってんだ、あいつ…。」
益々表情の曇る土方を前にして、近藤が問い掛けた。
近藤「どうかしたのか?」
土方「いや…会計処理の進捗状況を訊こうと思ってな…。」
最優先にして片付けろと言った業務をほったらかして何をしているんだ、何を聞いていたんだあの女は。そう思って土方は苛立ちながら煙草に火を点ける。ちょうどその時、屯所の玄関の方から葵咲の声が聞こえてきた。
葵咲「ただいま戻りましたー。」