第6章 仕事において報連相は何よりも大事。
葵咲の紹介を兼ねた会議が終わったところで土方は葵咲を連れ、屯所内を案内した。厠、台所、風呂場等生活に必要な場所の説明をした。そして最後に葵咲の部屋へと向かった。葵咲は女性なので屯所の中でも離れを使用させる事になったのだった。
土方「ここがお前の部屋だ。」
そう言って土方は部屋の中へと入った。土方に続いて葵咲も部屋の中へと入る。この離れは今まで倉庫がわりに使われていたものだ。中に置かれていた荷物は前日に運び出されていたものの、掃除はほとんど出来ておらず、かなり埃っぽい状態だ。部屋に入った葵咲は、まずは掃除からだな、などと思った。部屋は六畳一間の広さで、今は机と座布団だけが置かれている。土方は布団は押し入れの中に入っていると説明した後、机の上に置かれた書類に手を置いて言った。
土方「この書類をまとめて会計報告書を作成しろ。締切は明後日だ。仕上げたら明後日俺のところに持ってこい。」
葵咲「これ…全部ですか?」
机の上に積まれた書類は、一段には積みきれず、五段に分けて積まれている。相当な書類の量だ。
土方「ああ。出来ねぇか?」
葵咲「いえ、他に書類はないかな、と。」
やり始めたところで漏れ等により後から書類を追加されても困ると思った葵咲は、書類の確認をしたのだ。
土方「いや、これで全部だ。」
葵咲「分かりました。」
土方「まずはこの会計処理を最優先でやれ。女中の仕事はそれが終わってからだ。いいな?」
葵咲「はい、分かりました。」
仕事の確認をした後、土方はその日の夜行なわれる葵咲の歓迎会について時間等の説明をして、離れを出て行った。屯所の母屋の方へと戻ってきたところで離れの方を振り返り、明後日までというのは少し厳しすぎただろうか?などど思ったが、甘い考えでここに居られても困ると思い、そのまま何も言わずに自室へと戻ることにした。