第55章 自分の事は案外自分よりも他人の方がよく分かっている。
葵咲「決闘中でもお腹痛くなったらすぐに厠行った方がいいよ。…手遅れになる前に…。」
土方「!? 違っ!違ぇーよ!!これは総悟の雪玉にしこまれて…!!」
その時初めて気が付いた。ウ●コが仕込まれた雪玉を肩に受けていた事を。
葵咲「いいよ、別にそんなんで引いたりしないからさ。」
そう言いながら葵咲は鼻を摘んで立ち上がり、土方と少し距離を取る。その事に対して土方は盛大にツッコんだ。
土方「思いっきり引いてんじゃねーかァァァァァ!なんだこの距離!!つーかマジで漏らしてねーよ!!漏らして肩に付くっておかしいだろ!!」
このままでは決闘中にウ●コを漏らした真選組副長のレッテルを貼られてしまう。慌てて弁解する土方だったが、葵咲は疑いの目をやめず、鼻を摘んだまま後ずさりする。
葵咲「ちょ、分かった、分かったから一旦距離を置こう。離れよう。今日のところはこれにてサヨナラしよう。…いや、やっぱ出来れば一週間ぐらい。」
土方「ドン引きじゃねぇか!!つーかそんなに!?一週間も関わんのイヤなの!?」
目の前にいるのに葵咲と全然目が合わない。その事に土方は彼女のドン引きを察した。葵咲は一応、取り繕うように胡散臭い言葉を並べ立てて誤魔化そうとする。
葵咲「いや、引いてるとかじゃなくてさ。その臭いは一週間は取れないんじゃないかなと思って。」
土方「臭いぐらいすぐ取れるわ!!」
必死でツッコむ土方だったが、そのツッコみも虚しく、葵咲はそそくさとその場を立ち去ろうとする。
葵咲「じゃあまぁ、そういうことで…。」
土方「…あっ!おい!待てよ!!葵咲!葵咲ァァァ!!」
土方は決闘の事などもうすっかり忘れて、慌てて葵咲の後を追いかけた。