第52章 疲れてる時はどんな状況だって眠れる。
葵咲は顔を真っ赤にしたまま高速で首と両手を振る。そんな葵咲を見て土方は熱でもあるのか?と思い、葵咲の顔をふっと覗きこんだ。
土方「?…ホントに大丈夫か?」
(葵咲:近っ!!)
顔を覗きこまれて更に顔を赤くする葵咲。湯気が出そうな勢いだ。葵咲は顔の近さに照れて慌てて身を引き、そして誤魔化すように言葉を紡いだ。
葵咲「なんでもないよ!!土方さん疲れたんでしょ!?ほら、さっさと寝よう!眠っちゃった方がいいよ!!」
土方「え?お、おう。」
半ば強引に葵咲に押し切られる形で、二人は眠りにつく事となった。
手錠で繋がっている為、布団は二枚並べて敷くしかないわけだが、当然の事ながら寄り添って寝たりはしない。土方は向かって左側の布団の左端、葵咲は右側の布団の右端に寝た。手錠で繋がった手を最大限伸ばした状態で。
葵咲「・・・・・。」
布団には入ったものの、眠れない。眠れる気がしない。葵咲は逆に目が冴えてきた。
(葵咲:ねっ、眠れないィィィィィ!!!!!さっきから変に意識しちゃって全然眠れる気がしない!!)
そんな心情を悟られまいと、葵咲は土方に背を向けて布団にもぐる。
土方「・・・・・。」
土方はチラリと葵咲の方を一瞥した後、葵咲とは逆の方へと顔を向け、目を瞑った。