第52章 疲れてる時はどんな状況だって眠れる。
食事を終え、定食屋を出て屯所へと足を向ける二人。土方はひどく疲れた様子で深いため息を漏らす。
土方「あ~疲れた。今日はもうさっさと帰って寝ようぜ…。」
葵咲「え?お風呂は?」
土方の言葉に咄嗟に反応して言葉を返す葵咲だったが、そんな葵咲の言葉に土方は顔を真っ赤にして驚く。
土方「は!?ちょ、お前っ!何言ってんだよ!?」
葵咲「こんなに汗でベトベトのままじゃ、眠れないでしょ。」
きょとんとして返す葵咲に、土方は自分達を繋いでいる手錠を指差しながらストレートに言葉をぶつけた。
土方「ベトベトだろーが何だろーが、お前、入れねーだろうが!」
葵咲「あ、そっか。服脱げないね。」
的外れな回答をする葵咲に土方は苛立つ。まぁ綿密に言えば間違ってはいないのだが、今土方が言いたいのはソレじゃない。土方は髪を掻きながら目を瞑って言った。
土方「そういう意味じゃねーよ!いや、確かにそれもあるけど!オメー厠でギャーギャー騒いでた奴が風呂なんか入れねーだろっつってんだよ!」
葵咲「…あっ!!」
そこまで言われてやっと察する葵咲。葵咲は顔を真っ赤にして言葉を失った。単に無防備なのか、それとも自分が全く男として見られていないのか。恐らく後者なんだろうなと思うと、自分が情けなくなる土方。土方はもう葵咲に期待するのは辞めようと思い、またもや深いため息を漏らした。
土方「・・・・ハァ。」