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銀魂 - 雪月花 -

第52章 疲れてる時はどんな状況だって眠れる。


葵咲は箸を置き、おわんの前で手を組む。そして真面目な顔つきで自らの手をじっと見つめながら、以前の戦い方の説明を始めた。


葵咲「元々私の戦法は相手の攻撃を右で受けて流す、その隙に左からカウンター攻撃をするというもの…。そう、名付けて…裂蹴拳(れっしゅうけん)…。」


何処かで聞いた事のある戦法だ。土方は変わらず真剣な眼差しで葵咲の方を見つめたまま、至って冷静にツッコんだ。


土方「それ仙水だよね?幽白だよね?腕で攻撃受け流して蹴り入れるアレだよね?」


毎度の事ながら、そんな土方のツッコミには反応を示さない葵咲だったが、ここで何かに気付いたように、ふと顔を上げた。


葵咲「あ。そういえば・・・・」

土方「ん?」

葵咲「この間の誘拐事件、田中は高杉達、鬼兵隊とは関係なさそうだった…。」

土方「? どういうことだ?」


何故そうだと言い切れるのか?土方も葵咲の話に真剣に向き合う為に一度箸を置き、その理由を尋ねた。


葵咲「田中(あのおとこ)、私が元々左利きだって知らなかったから。」

土方「!」


目を丸くする土方。葵咲はそんな土方から一度視線を外し、天丼のおわんを見つめながら更に続けた。


葵咲「大江戸第一ビルの一件の時、高杉と田中が接触してたから、もしかしたら今回の件も高杉が関与してるかなって思ったんだけど…。右手怪我して、『左だけで十分』って言った時…あの男、自分はナメられてるって感じた様子だったの。高杉は私が元は左利きだって知ってるから…。もし高杉が私を狙わせる気だったなら、その事伝えてるはずでしょ?」


『左だけで十分』、その発言は、葵咲が田中と高杉の共闘の可能性を確かめる為に放った発言。要するにカマをかけてみたのだ。土方も葵咲に向けていた視線をテーブルへと移し、顎に手を当てて考え込みながら唸った。
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