第51章 心頭滅却すれば刀にもなれる。
その言葉に息を呑む近藤。松平が言わんとしている意図が分かったからだ。
そしてそのまま松平が続ける。
松平「真選組隊士なら攘夷浪士を斬る行為は大義名分になる。違うか?」
近藤「た、確かにそうだが…。だが、それだと今後、また葵咲ちゃんが危険な目に…。」
一度隊士となってしまえば出動要請が掛かれば断る事は出来ない。真選組は対テロ組織。危険はつきものだ。そんな危険なポジションに転向させて良いものだろうか。思い悩む近藤はすぐに首を縦に振る事は出来なかった。
松平「“今後”危険な目に合う合わねぇの問題じゃねぇだろ。ならなきゃ今命取られるだけよ。」
近藤「・・・・・。」
最もな松平の意見に、近藤は唸りながら俯く。言葉を返さない近藤に対し、松平は補足の注意点といった形で言葉を付け加えた。
松平「だが、これも100%叶うとも言い切れねぇがな。女を真選組に採用するなんざ異例の事態だ。それも会議にかけられるだろうよ。」
近藤「そうまでしても…葵咲ちゃんが咎められる可能性があるってことか。…だが、それしか方法がないなら…やるしかねぇ、か・・・・。」
松平「・・・・・。」
これは苦渋の決断だった。もしかすると他にもっと良い方法があるかもしれないが、それを考えている時間など無い。早々に手を打ち、葵咲が隊士となる話が持ち上がっていたのだと事実をねじ込む必要もある。松平はそれを間に合わせるべく対応する為にも、葵咲の名を尋ねた。