第51章 心頭滅却すれば刀にもなれる。
最後の方、グチグチと言葉尻を小さくする松平の様子ですぐに分かった。松平はキャバクラ通いを行なっている程の若い女の子好き。自分だけのけ者にされていた事が悔しかったらしい。
少し呆れた様子で近藤が松平に尋ねると、松平は更に拗ねた様子で怒鳴り散らした。
松平「拗ねてなんかねぇよバカヤロー!ちょっと寂しかっただけだコノヤロー!!」
近藤「それ拗ねてるって言うんじゃね?」
更に呆れてしまった近藤だったが、ここで松平は真面目な会話に戻る。
松平「とにかく、法律違反は嫌疑にかけられる。こりゃ当然の決まりよ。・・・・それにな…、今回は俺にもどうしようもねぇんだよ。」
近藤「?」
松平「この件、どうやら“天導衆”の耳に入っちまったらしい。」
近藤「!?」
この言葉には近藤も耳を疑った。何かの間違いでは?そう思った近藤は松平に理由を問い詰める。
近藤「なんで天導衆が出てくるんだ!?奴らが関与するようなヤマじゃねぇだろう!?」
松平「そんなもん、俺が知るわけねーだろ。だがな、奴らが女を引き渡せと言ってきてやがるのは事実だ。」
近藤「なっ!!…だったら俺が嫌疑にかけられるべきだろう!一般市民を巻き込んじまった俺が!!」
松平「女の代わりに自分が出頭するってのか?」
近藤「責任ってのは上司が負うべきもんだろう。俺なんかの為に命張ってくれた葵咲ちゃんを見殺しにするわけにゃいかねぇよ。」
近藤の思いは本気だ。それは電話越しでも伝わってきた。
真剣に己の身を差し出そうとする近藤に、松平は一つの提案をした。
松平「・・・・近藤よ。一つだけ両者が生き残れるかもしれねぇ方法がある。」
近藤「本当か!?方法って何だ!?」
松平「その女が“真選組隊士であること”だ。」
近藤「!」