第51章 心頭滅却すれば刀にもなれる。
葵咲「でもこのままじゃ戦えないですよ!」
土方「ぐっ!」
葵咲「…仕方ありません。もう一つアイディアがあります。」
土方「オメー絶対ぇアレだろ!!“アレ”する気なんだろ!!」
先程の流れから察するに、次の提案は“アレ”だ。それもまた、ONE PIECE第42巻と同じである。
発砲を続けていた男だったが、ここでタマ切れ。新しい銃弾を拳銃に詰めようとしたその時、葵咲と土方が塀の陰から姿を現した。男は目を疑う。てっきり二人並んで立ちはだかるものだと思っていたのに、地に足をつけていたのは葵咲だけ。土方は葵咲の右手に“セット”されていた。
葵咲「いいですか?土方さん。姿勢を崩さないで!!貴方は…“刀”です!!!!!」
土方「誰かァァァ!!弁護士を呼べェェェェェ!!」
そう、アレとは。土方ごと刀と見なして闘う事。土方の体制はウソップと同じである。土方は微動だにせずに刀を両手で構え、葵咲が土方を右手で抱え上げていた。そんな理不尽な戦い方を強いられて土方は叫ぶが、葵咲は一切耳を傾けない。これは犯人逮捕や戦う事が目的ではなく、至極個人的な思いで行なっているようだった。
葵咲「土方さんもウソップの気持ちを知るべきなんだよ!あの時のウソップはもっと恐怖に満ち溢れてたんだから!」
土方「だからゾロ(あれ)俺じゃねぇっつってんだろ!!つーか俺をゾロだっつーんなら役回り代われよ!!」
葵咲「イヤです!今こそ、さっきの厠での恨み、晴らす時ィィィ!!」
土方「まだ根に持ってたんかいィィィィィ!!そっちが本音だろ!つーかありゃ不可抗力だろうが!俺のせいじゃねぇ!!」
どうやら先程の厠での件をまだモヤモヤと内に抱えていたようだ。そして葵咲はそのまま土方を刀として抱えたまま、男に突撃する。
葵咲「だりゃァァァァァ!!!」
土方「うわっ!ちょ!!うぉぉぉぉ!!!!!」
「え?…うぎゃァァァァァ!!!!!」
ひったくり犯の男はまさかそのまま向かって来られるとは思っていなかった為、銃を構えなおす事も逃げる事も出来ずに葵咲達に斬られ、逮捕される事となった。