第50章 音姫使ったって外に音は聞こえている。
土方・葵咲「・・・・え?」
山崎「あ。」
山崎が全てを言い終わる前に、土方の左手と葵咲の右手とが手錠で繋がれてしまった。シーンとなる現場。
その沈黙を破るように、土方が恐る恐る言葉を搾り出す。
土方「…おい。お前今なんか不吉なこと言わなかった?」
山崎「・・・・・。」
近藤「・・・・・。」
原田「・・・・・。」
土方「・・・・・。」
葵咲「・・・・・。」
土方の質問には誰も何も答えようとしない。冷たい空気が流れた。そしてその沈黙に耐えかねた近藤が一筋の汗を垂らし、土方からは視線を逸らしながら右手を上げて言う。
近藤「・・・・俺、今からとっつぁんと会議があるんだったわ。じゃ。」
原田「…俺は市中見回りが。じゃ。」
山崎「お、俺も監察の仕事が…。じゃ。」
自らの手に掛けられた手錠を指差しながら土方は、その場から早々に立ち去ろうとする三人を引き止めようと叫んだ。
土方「…って待てオイィィィ!!どうしてくれんだコレェェェ!!」
葵咲「そうですよ!!これじゃパトロール中にダリィーズでお茶出来ないじゃないですかァァァ!!」
土方「それは普通に行けんだろ!」
思わず普通にツッコミを入れてしまう土方だったが、葵咲の意見がおかしな事に気付き、更にツッコミを重ねる。
土方「…ってお前仕事中に何やってんだコラァァァ!!ザボってんじゃねーよ!!」
葵咲「仕事こなしてるんだったら空いた時間好きにしていいって言ったの土方さんじゃないですか!第七章参照!」
土方「パトロール中はご法度に決まってんだろ!!公務員が仕事サボってダリィーズでお茶とかマスコミにでも見つかってみろ!即効叩かれんだろーが!!時と場合ってもんを考えろよ!」
二人が言い争っていると、その場から立ち去ったはずの山崎が戻ってきた。そして土方の耳元へと顔を近付けてコソコソ話を始める。