第50章 音姫使ったって外に音は聞こえている。
場面は再び警察庁本部へと戻る。
近藤と土方は資料室を出て葵咲達のいる研究室へと足を向けていた。その道中、二人の間に特に会話はなかった。土方は一人、先程近藤から聞いた話を再確認しながら、頭の中で考えを巡らせていた。
(土方:葵咲…お前はいったい、あの時どんな気持ちで高杉のもとに行ったんだ…?一番の幼馴染をとめる為だったのか?それとも…市村家の仇討ちの為か・・・・?)
真選組と高杉との抗争の際、葵咲は一人で高杉の元へと向かった。
その時の葵咲の気持ちが分からない。かと言って、聞けない…。土方は何とも言えない表情を浮かべた。
そして研究室へと入る二人。室内に入って二人は葵咲達の姿を探した。きょろきょろとその姿を探していると、二人よりも先に葵咲が近藤達を見つけ、手招きした。
葵咲「あっ!土方さん、近藤さん!こっちこっち!」
呼ばれて近藤と土方は葵咲達のもとへと歩み寄る。二人が傍に来たのを確認すると、山崎が報告を始めた。
山崎「先日の一件で田中古兵衛が集めていた素材を使って何が出来るのか色々検証してみたんですが…。」
土方「何か分かったのか?」
真剣に報告を行なう山崎を見て土方もまた、真剣な眼差しになる。そして一呼吸置き、山崎が結論を述べた。
山崎「“海楼石”が出来上がりました。」
土方「・・・・なんでそんなもんが出来上がんの?」
実に冷静なツッコミである。土方は煙草を咥えながら更に言及した。
土方「ありえねぇだろ。つーか銀魂(このせかい)に悪魔の実の能力者いねーだろうが。何で海楼石って分かんだよ。」
山崎「調査の賜物です。」
土方「適当に良い感じの言葉で誤魔化してんじゃねーよ。」