第49章 犬の散歩は主導権を握る必要がある。
ハハハハッと笑いながら言葉を交わす二人。なんなんだ、この会話は。まるで夢を見ているようだ。つまり、葵咲は近藤の練習台にされただけという事なのか?単なる踏み台でしかないという事なのか?先程のあの温かい空気は嘘だったというのか…?力になりたいという葵咲の真剣な想い、その足元を見て葵咲を利用したのか。その気持ちを踏みにじったのか・・・・。土方の中で沸々と怒りがこみ上げてくる。
近藤「だが、本当に葵咲には感謝してるよ。」
銀時「へいへい。ま、幸運を祈ってるわ。」
近藤「おう。」
そうして銀時は、ひらひらと手を振ってその場を立ち去る。近藤はそんな銀時の背を少しだけ見送り、自分も屯所の方へと足を向けようとした。その時、近藤の前に土方がゆらりと現れた。土方は俯きかげんに、じっと地面を見据えながら近藤の前に立ちはだかる。
近藤「お?トシじゃねーか。奇遇だな。」
土方の姿を見つけて笑顔を向ける近藤。だが少し様子のおかしな土方を見て、怪訝な顔を浮かべる。
近藤「…ん?トシ?どうかしたのか?」
土方「アンタがそんなゲスの極みだとは思ってなかったぜ。見損なったよ。」
近藤「? 何の話だ??」
全く話の内容が見えてこない。そういった様子で首をかしげる近藤。土方はそのまま静かに続けた。
土方「アンタは女に泣かされても、女を泣かすような真似だけはしねぇ男だと思ってた。」
近藤「?? トシ?だから一体何の話だよ?」
そして次の瞬間、土方は顔を上げ、キッと近藤を睨みながら刀を抜いた。
土方「俺がその腐った根性、叩きなおしてやらァァァァァ!!」
近藤「え? ギャアアァァァァァ!!!!!」