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銀魂 - 雪月花 -

第49章 犬の散歩は主導権を握る必要がある。


銀時「世の中なんてのは持ちつ持たれつだ。頼りにしてるからこそ、頼られたいって思う。背中を預けるからこそ、預けて欲しいって思うんだ。違うか?」

近藤「万事屋…。」


銀時の言葉をしみじみと受け取る近藤。そして葵咲の事を考えた。自分に出来る事があるなら何でも言って欲しいと言ってくれた事を。あれは紛れも無く信頼の証。頼って欲しいという表れなのではないか。

確かに葵咲にはまだ語られていない秘め事があるのかもしれない。だが焦る必要は無い。そこに信頼があるのなら。いずれ葵咲が話したいと、そう思った時に話して貰えればそれでいい。そう思った近藤は静かに頷いた。


近藤「そうだな。」

銀時「まぁ確かに、まだ遠慮は見られる気がするがな。…それは俺も同じだ。」


“俺も同じ”、そう口にする銀時は、とても寂しそうな表情を浮かべていた。その眼差しはまるで届かない一方通行の想いを自分だけが馳せているような、そんな眼差しだった。


近藤「万事屋…お前、葵咲の事・・・・。」

銀時「…勘違いすんなよ。俺のはとっくに終わってる。」

近藤「!」

銀時「今の俺の、あいつに対する気持ちは…強いて言うなら罪悪感だ。」

近藤「罪悪感?」

銀時「・・・・・。」


復唱して問いかける近藤だったが、銀時はそれ以上語ろうとはしなかった。静かに俯き、沈黙を落とした。

そして少し間を置いてから、話題を変えるように葵咲の歩いて行った方角へと目を移す。


銀時「つーかあいつ、戻ってくんの遅くね?」

近藤「そういえば全然帰って来んな。…大丈夫か?」


葵咲の身に何かあったのではないか?近藤は不安を募らせる。銀時はそんな近藤を安心させるように言葉を紡いだ。


銀時「まぁこんな真昼間から何かあるとは思えねぇけど。念の為に探しに行ってみるか。」

近藤「そうだな。図体の大きい犬だ。散歩に手こずってるのかもしれんしな。」


二人はゆっくりと歩き出した。そして土方もまた、二人の後を追うように歩を進めた。
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