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銀魂 - 雪月花 -

第49章 犬の散歩は主導権を握る必要がある。


葵咲が定春の散歩へと出て、その場には銀時と近藤が残される。しばしの沈黙が降りた。

あの誘拐事件からまだそんなに日は経っていない。葵咲の身を心配した近藤は、やはり一緒について行くべきだったと思った。そして葵咲の歩いて行った方向へと足を向けようとするが、それを引き止めるように銀時が近藤へと話しかけた。


銀時「…どうだ?あいつの様子は。」

近藤「え?」

銀時「田中に捕まってた時、奴に相当ストレス負荷かけられてたみたいだからな。」


どうやら銀時は、近藤と この話をする為に葵咲に定春の散歩を頼んだようだ。その事が分かった近藤は銀時の質問に紳士に答えた。


近藤「ああ。順調に回復してるよ。最初はやはり無理が見えていた。だが、最近は前みたいに自然に笑うようになってきたと思う。俺がついていながら…情けねぇ話だ。」


苦笑いを浮かべて近藤は頭(かぶり)を振った。そんな近藤に対して、銀時はフッと笑みを漏らす。


銀時「何言ってんだよ。逆だろ?お前がいたからあいつは今こうして笑えてんだ。」

近藤「万事屋…。」


普段馴れ合いの無い二人だが、銀時のこの言葉を聞いて近藤は少し心が救われる気持ちになった。近藤は真剣に応えてくれる銀時に心開き、珍しく弱音を吐いた。


近藤「あいつは…何を抱えてるんだろうな。」

銀時「?」


柵をぎゅっと握り、水面に視線を落とす近藤。銀時はその言葉の意味を考えるように近藤の横顔をじっと見つめる。近藤はゆっくりと言葉を繋げた。


近藤「あいつの素姓を知って、あいつの荷物(くろう)を一緒に背負ったつもりでいた。だが、それは氷山の一角にすぎなかったのか…。あいつにはまだ…抱えてる“何か”があるように感じるんだよ。」

銀時「・・・・・。」

近藤「もっと俺達に打ち明けて欲しい。もっと…俺達を頼って欲しいんだがな・・・・。」


言葉を挟まずに静かに耳を傾けていた銀時だったが、ここでゆっくりと口を開く。銀時は柵にもたれ掛かり、空を仰ぎ見ながら応えた。


銀時「…頼ってるさ。あいつはお前達を頼りにしてる。だからこそ…あいつもお前らの役に立ちたいって思ってんだろ。」

近藤「!」


重みのあるその言葉に、何かを気付かされる近藤。ハッとなって銀時へと視線を向けた。
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