第48章 エスコートの基本は道路側を歩くこと。
二人は広場を出て歩き出す。土方も二人の後を追った。あまり近付きすぎると感付かれると思った為、一定の距離を保っている。その為会話内容は全く聞こえない。だが、二人はとても楽しそうに話していた。そんな二人を土方は複雑な心境で見守る。
葵咲は話すのに夢中で前をちゃんと見ていなかった。葵咲は通行人と肩がぶつかりそうになり、近藤が葵咲の腕をきゅっと引く。
近藤「おっと。」
葵咲「あ。」
近藤「ほら、しっかり前見て歩かないと危ないぞ。」
葵咲「すみません…。」
注意を促す近藤の顔には笑顔が滲んでいる。別に本気で注意しているわけではない。むしろ、微笑ましいといった様子で葵咲を見ていた。
そして近藤は歩く位置を葵咲と代わり、葵咲を壁側に歩かせ、自分が道路側の歩道を歩くようにする。これで葵咲が人とぶつかる心配はないだろう。
近藤「葵咲はこっち側な。」
自分をしっかりと女の子扱いしてくれる近藤に、葵咲は頬を少し染めた。