第5章 就活するなら資格は沢山持ってた方が有利。
そのまま突っ立っていた土方だが、葵咲の様子を見ていると、葵咲も自分に斬りかかって来る様子はない。その時土方はある事に気が付いた。今葵咲が手にしている刀は葵咲の部屋に飾られていた刀ではないようだ。自分も先日手に取って見たから分かる。何故自分の刀を使わないのか。大切な形見だから敢えて使わないでいるのか?それとも…。そんな風に土方が色々と考察していると、全く動こうとしない二人にしびれを切らした高橋は、葵咲をけしかけるように叫んだ。
高橋「おい!何やってやがる!ぼーっと突っ立ってねぇでさっさと攻撃しねぇか!!」
葵咲は刀を構えたまま、それでも動く様子はない。
葵咲「・・・・吐き違ってもらっては困ります。私の仕事はお客様の命をお護りする事。誰かを攻撃する事ではありません。契約外の事は致し兼ねます。」
その言葉を聞いた土方と総悟は、ますますその場から動けなくなった。そして自分の思い通りにならない葵咲に対し、怒りをあらわにした高橋は、脅すような台詞を吐き捨てる。
高橋「なんだと!?てめぇ…!あの刀売り飛ばされてもいいんだな!?」
葵咲「っ!!」
高橋のその言葉を聞いた瞬間、一気に葵咲の顔色が変わった。土方はその顔色の変化を見逃さなかった。もしかしたらこいつは…ある一つの仮説が頭を過ぎった。
土方「おい、その刀って…。」
葵咲は眉をひそめて深く目を瞑り、少し考えた後、やがて刀を下ろした。
葵咲「・・・・それでも…私はこの人達を斬れません。」
土方「!」
高橋「てめぇ…契約は無効だ!!お前ら!市村ごと皆殺しにしろォォォ!!」
攘夷浪士達が一斉に葵咲に斬りかかろうとしたその時、あの男が現れた。
「ぐわァァァァァっ!!」
銀時「ラッキーじゃねぇか。契約打ち切りだってよ。」
土方が斬りかかるよりも早く、木刀で浪士達を殴り飛ばしたのは銀髪天然パーマの男、坂田銀時だ。銀時は高橋の部下全員を一気に殲滅した。突然現れたバカ強い男に高橋は怯む。