第5章 就活するなら資格は沢山持ってた方が有利。
葵咲は何も言わず、何とも言えない表情をしてその場に立ち尽くす。
高橋「真選組か…情報が早いじゃねぇか。市村、そいつらぶっ倒してくれよ。俺達ァそいつらに命狙われてんだ。」
葵咲「えっ…。」
高橋「出来ねぇなんて言えねぇよなぁ?俺らは客だ。客の命護るのが仕事だろ?」
高橋に見下されるように言われた葵咲は、暫く俯いて考え込んだ様子だったが、やがて頷いた。
葵咲「…分かりました。」
総悟「なっ!?」
総悟は葵咲の発言に驚き、一歩後ずさる。そして葵咲は自分の手に持っていた刀を鞘から抜き出し、土方と総悟の方に向けた。
葵咲「高橋様達はお下がり下さい。」
開いた口が塞がらない総悟は、その場に呆然と立ち竦む。折角出逢えた姉に瓜二つの女性。少し距離が縮まったと思ったそんな矢先に彼女と敵対するなんて。
戸惑っている総悟を背中で庇うように土方が一歩前へと出た。
土方「…今回は何も知らねぇわけじゃないみてぇだな。それ以上そいつらに加担するようなら容赦はしねぇ。謀反とみなす。」
総悟は土方のその言葉に驚いた表情で、土方の後ろから肩を掴んで問い返す。
総悟「ちょ、本気ですかぃ!?土方さん!!」
土方「当たり前ぇだろ。こいつは攘夷浪士に肩入れしてやがんだ、放っておけるか。お前はいい、そこで見てろ。俺が一人で片付ける。」
総悟「っ!」
そうは言ったものの、土方もたった一日とは言え一日中一緒にいた女に少し情がわいていた。しかも自分の惚れた女と同じ顔。自分から斬りかかる事が出来ず、刀を構えたまま動けずにいた。