第48章 エスコートの基本は道路側を歩くこと。
高杉「それに、交渉はお前の方が得意だろ?」
確かに言葉巧みに相手を誘導するのが得意な古兵衛は、交渉事も得意である。高杉は先日古兵衛が入手した囚人の鍵をピンッと弾くように古兵衛に向けて放った。それを古兵衛は上手く片手でキャッチする。そして観念したように一つため息をつき、高杉の条件を承諾した。
田中「ったく…分かったよ。その代わり、これ上手くいったら俺の鬼兵隊への正式入隊、考えといてくれない~?」
高杉「ククッ。ああ。頭の片隅にでも置いといてやらァ。」
用件だけ済ませて、高杉は古兵衛のアジトから出て行こうとする。古兵衛はそれを引き止めるように質問を投げかけた。引き止めるとはいっても、古兵衛は受け取った鍵を指でくるくると回し、鍵を見つめながら話している。余談といった形だ。
田中「…なぁ晋助、“アレが完成したら”すぐにでも動き出すつもりか?」
高杉「・・・・いや。じっくり策を練ってからだ。存外奴らのガードは硬そうだからな。まぁそう焦る必要もねぇだろう。」
田中「・・・・・。ま、タイミングはお前に任せるけどよ。」
それ以上二人は何も語ることなく、高杉は古兵衛のアジトから出て行った。