第47章 生きる事、生まれてくる事を許されない人間なんていない。
翌日の大江戸病院。銀時は病室で横になっていた。
致命傷の攻撃を受け、大量の出血はあったものの命に別状はなかった。救急車で搬送されてからずっと葵咲は銀時についていた。やはり自分のせいで負わせた傷、申し訳ないという気持ちもあり、看病に徹していたのだ。
葵咲「全治一ヶ月だって。良かったね。」
銀時「どこが良いんだよ、全然良くねぇだろうが。」
葵咲「なんでよ。早い方じゃん。」
銀時「入院してる時点でアウトだっつってんだよ。」
不服そうな顔を浮かべる銀時。最後土方に良いところを全て持っていかれてしまい、自分は怪我損だと感じていたのだ。ムスッと口を尖らせ、不満を並べる。
銀時「あーあ。飯もマズイし手も思うように動かねぇ。お前横で暇そうにしてんなら飯食わせろよ。」
葵咲「しょうがないな~。じゃあ、“あーん”してあげよう。」
銀時「えっ、マジでいいの?」
ダメもとで言ってみたお願い。てっきり葵咲は恥ずかしがって断るものだと思っていたのだが、すんなりと受け入れてもらえた。まさかの受諾に驚かされたのは銀時の方だ。銀時がそわそわしていると葵咲が笑顔で言った。
葵咲「こう見えても子どもの面倒見るのは得意なんだよ。」
銀時「…なんでお前はそう色気のない方にいくの。」
ここは普通、恋人同士(バカップル)方面だろう。そう思った銀時は深くため息をついた。
葵咲は銀時のため息を無視して病院食のスープをひとさじ掬う。そして銀時の口元に近付けた。色気がないだの何だのと文句を垂れていた銀時だったが、いざしてもらうとなると照れくささが生じた。しかも今病室内は二人きり。
ドキドキしながら銀時が口を開けようとしたその時、病室の外から声を掛けられた。
総悟「失礼しやす。」
病室へ訪れたのは総悟、土方、近藤、それから新八、神楽。そして・・・・
葵咲「そ、そよ姫様!?」
突然の姫君登場に葵咲は驚く。驚きのあまり、持っていたスープの器を手から落としてしまった。器は銀時の上へとひっくり返ってぶちまけられる。
銀時「うわっ!ちょ!熱ァァァァァ!!」
大惨事だ。