第47章 生きる事、生まれてくる事を許されない人間なんていない。
だが葵咲はそれに気付いていない様子で立ち上がり、そよ姫の前で姿勢を正す。これには逆にそよ姫が慌てた様子で手を振った。
そよ姫「そんなに硬くならないで下さい。」
葵咲「いえ、で、でも…。」
おろおろとする葵咲を前に、そよ姫は笑顔で語りかけた。
そよ姫「この度は本当に有難うございました。」
葵咲「そんな、私は何もしてないので…。」
葵咲はブンブンと首と両手を振り、頬を赤くして俯く。そんな可愛らしい反応を見たそよ姫は、少し吹き出してしまう。どちらが年上か分からない。そよ姫はしっかりと葵咲を見据えて言葉を返した。
そよ姫「いえ。あなた方のお陰で、私はこうして無傷でいます。本当に有難うございました。」
その言葉に顔を上げてそよ姫を見る葵咲。そよ姫もまた視線を返して微笑んだ。
そしてそよ姫の後ろにいた近藤も微笑みながら葵咲を見る。
近藤「葵咲、お前の功績が今度表彰されるそうだ。」
葵咲「えぇっ!?私なんか表彰するような価値は…。」
今回特に自分は何もしていない。むしろ自分の失態で掴まり、真選組の皆に迷惑を掛けた。そう思って葵咲は表彰の辞退を申し出た。
だが、これに対して近藤は首を横に振った。
近藤「お前は立派に真選組隊士として任務をまっとうした。お前がいたから田中を撃退し、今回の事件を無事に収める事が出来たんだ。」
新八「そうですよ。最後は葵咲さんも大活躍だったじゃないですか。」
そよ姫「もっとご自分に自信を持って下さい。」
暫く唸るように眉を下げていた葵咲だが、銀時の言葉がその背を押した。
銀時「今回護ったモンはでかかったってわけだ。」
皆の温かい雰囲気に包まれ、葵咲は観念したように表彰を受け入れる事にした。
葵咲「…うん。有難うございます。」
銀時「ところで俺は?俺も頑張ったんだけど。」
土方「オメーを表彰するぐらいならミジンコでも表彰するわ。」
新八「すみません、まさかそれ僕の事じゃないですよね?」
今回ずっとミジンコ扱いされ続ける新八。涙目になるが誰も慰めてくれる事は無く、今回の事件は無事終結したのだった。