第47章 生きる事、生まれてくる事を許されない人間なんていない。
銀時「ハングライダー!?キッドかよ!!どこまで青山ファンだァァァァ!!」
思わず全力でツッコんでしまった銀時。その叫び声は傷口へと響いた。銀時は傷口を手で押さえてその場にうずくまる。
銀時「…ぐっ。」
総悟「旦那!!」
銀時の一番近くにいた総悟が慌てて銀時に肩を貸す。銀時は総悟に顔を向けて苦しそうに詫びを入れる。
銀時「わ、悪ぃ。ちょっと貧血だ。近藤(アイツ)は?」
総悟「近藤さんなら心配いらねぇ。ザキと爆弾処理班が今頃救出完了してるはずでさァ。」
葵咲「良かった…。」
総悟の言葉を聞いた葵咲は、ほっとして安堵の息を漏らす。
そしてこの場に駆けつけてくれた皆に身体を向けて、心からの謝礼を述べた。
葵咲「有難う、みんな。助けに来てくれて。土方さんも、本当にありが…。」
土方の方へと身体を向けて礼を言おうとしたその時、土方が葵咲をきつく抱きしめた。
葵咲「!? ちょ、土方さん!?」
突然の抱擁に葵咲は顔を真っ赤にする。あたふたしてその腕から逃れようとするが、抱きしめる腕の力は強く、簡単には振りほどけなかった。葵咲がすっぽり土方の腕の中に納まっていると、葵咲の耳元で土方が小さく言葉を漏らした。
土方「ったく、心配かけさせやがって…!」
土方が本気で心配してくれていた事が、その腕の温もりから伝わってくる。そして、拘束されていた時に近藤から聞いた話を思い出した。自分を救い出す為に、無茶してくれた事。本来なら簡単に受け入れられるはずのない古兵衛からの要求を躊躇い一つ無く承諾してくれた事を。
葵咲は土方の背にそっと腕を回して目を深く瞑った。
葵咲「…うん、ごめんね。本当に…ありがとう。」
総悟「・・・・ハァ。結局はいいとこ持ってかれちまったぃ。」
銀時「…俺なんか大怪我してんだけど。」
そんな二人の様子を傍から見ていた総悟と銀時は口を尖らせる。そして銀時はとうとう限界といった様子で総悟の肩からズルリと崩れ落ちた。
総悟「旦那!」
新八「銀さん!!救急車!救急車ァァァァァ!!」
それから間もなくして救急車が到着し、銀時は病院へと搬送される。なんとか一人の死人も出ず、事件は一件落着となった。