第47章 生きる事、生まれてくる事を許されない人間なんていない。
田中「ムカつくんだよ。見てるだけで虫唾が走る。」
銀時「じゃあ見なけりゃいいだろ。そんなに気にくわねぇなら関わってこなけりゃいいじゃねーか。」
何故わざわざ関わってくるのか。その理由を問いただすように銀時が古兵衛に質問を投げかけた。
その質問に古兵衛は葵咲の方を睨んだまま答える。
田中「それじゃ駄目なんだよ。生きてるだけで罪なんだ。そいつの存在は…アイツを惑わせる。だからこそ俺がこの手で消さなきゃならねぇんだよ。アイツは黒い獣じゃなきゃなんねーんだ。これからこの国をぶッ潰すにはなァ。」
古兵衛は今までで一番とも言えるほど、冷たい視線を葵咲に送る。その視線は憎しみに溢れていた。その表情を見た銀時は眉根を寄せる。
銀時「…それがお前が葵咲に執着する理由か。高杉(あいつ)にとっちゃ、葵咲は大事な先生の姪っ子だから消してぇってか?お前、どんだけ葵咲(コイツ)に嫉妬してんだよ。モーホーさんですかァ?コノヤロー。」
紅桜編の一件にて、高杉が未だ松陽に固執している事は銀時も知っていた。それ故、葵咲は高杉を惑わせる存在なのだろう。銀時のその考察を聞いた古兵衛は、少し目を大きくする。
田中「! ククク。白夜叉ァ、オメェ、な~んも知らねぇんだなァ。」
銀時「あぁ?」
田中「…いや、何でもねぇよ。」
銀時「?」
古兵衛は不気味な笑みを浮かべて意味深な言葉を残すが、その事についてはそれ以上何も語らなかった。