第46章 心を砕くのは言葉のナイフ。
一方、ビルの屋上では銀時と古兵衛の激しい攻防戦が続いていた。
銀時が古兵衛と刀を交えるのは二回目。だが、前回交えた時とは決定的に違う点があった。大江戸第一ビルでの戦闘の際は古兵衛は刀一本で戦っていたのに対し、今は刀二本。本気で刀を構える古兵衛に、銀時は苦戦を強いられていた。
(銀時:くそっ!!この間の時と太刀筋が全然違ぇ!!)
古兵衛の太刀筋に翻弄される銀時。銀時の攻撃を受け流す点では前と同じだが、右手に握った刀でカウンター攻撃を仕掛けられる点が違う。そしてスピード。前回よりも格段に速くなっていた。“人斬り古兵衛”の異名は伊達じゃないようだ。銀時は一度体制を整える為に、後ろへ飛び下がる。
田中「へへっ。この間は俺、手ぇ抜いてたからねぇ~。」
銀時「っ!」
田中「俺の強さに吃驚した?白夜叉ァ。」
銀時「・・・・・。」
前回古兵衛が手を抜いているのは銀時も感じていた。攻撃は受け流されるが、あまり反撃の兆しは見られなかった。それは足止めが目的だった古兵衛が、敢えて攻撃を仕掛けてこなかった為だ。
だが今回は違う。古兵衛は銀時を倒す目的で刀を振っている。その攻撃は重く、一筋縄ではいかない様子だ。
田中「今夜は本気でいかせてもらう。お前も、この女も…ここで終わりだ。」
再び刀を向ける古兵衛に、銀時は少し目を細めて言葉を返した。
銀時「そんなに葵咲(こいつ)が“羨ましい”のか?」
田中「はっ。バカ言うな。俺はただ敵を消してぇだけだ。目障りなモノ、不穏因子は根っこから消す。ただ、それだけだ。」
銀時「・・・・・。」
古兵衛の目的や心理を読もうとするように、銀時はじっと古兵衛を見据える。