第45章 暗闇を照らすのは温かい光。
- 土方サイド -
無事に合鍵を作り終え、本物の鍵は元の場所へと返却した土方。
本部から出て皆の集合場所へと足を運んでいる最中、土方は古兵衛へと電話を掛けていた。電話番号は最初に材料等を示された際に教えられたもので、当然の事ながら逆探知等は出来ない仕組みになっている。
電話のコール音が数度鳴った後、古兵衛が電話に出た。
田中「は~い、もしも~し。」
土方「鍵は手に入れた。他の連中もそろそろ揃う頃だろ。」
田中「ヒュォ♪さっすが真選組、仕事が早いねェ~♡」
土方「取引場所と方法を言え。」
淡々と用件だけを話される事に、古兵衛は不服そうな声を漏らした。
田中「なんだよ、つれねぇな~。」
土方「いいからさっさとしろ。」
田中「はいはい。…ったく、そんなに姫様が大事かねぇ。ますます…殺したくなってくるなァ…♡」
土方「・・・・・。」
もう古兵衛の安い挑発などには乗らない。土方は古兵衛のこの発言は自分をからかってのものだと思い、反応すれば古兵衛を喜ばせるだけだと考えて敢えて何も言わなかった。大分冷静さを取り戻したようだ。
てっきり電話の向こうから怒鳴りつけてくると思っていた古兵衛は、目をぱちくりさせる。
田中「あれ?無反応?クスッ。こんな台詞には乗せられなくなっちまったか。つまんねぇけど、まぁ仕方ねぇか。じゃあ今から指定する場所にそれぞれ材料を届けてくれる~?」
土方「…分かった。」
それから電話で詳しい指示が下る。
材料は同じ場所に全て持ち寄るのではなく、全く別の場所へと運ばせられる事、運び屋はそれぞれ一人ずつだという事、尾行者がいると分かった時点で近藤と葵咲の命はないという事、材料を置いたら運び屋はすぐにその場を立ち去る事、それから、発信機の類もつけない事…。
他にも事細かな指示があり、電話は切られた。