第45章 暗闇を照らすのは温かい光。
- 土方サイド -
土方は監獄へと訪れていた。
皆と解散した後、一度幕府の中枢、本部とでも言うのだろうか。松平や他の役人達が駐屯している場所へと赴いた。
今追っている事件の重要参考人が囚人番号2594253で、その囚人の身体に掘られたタトゥーが犯人逮捕の鍵になりそうだと適当な嘘を吐き、鍵を入手。そして合鍵を作る為に、その鍵を一度鍵屋へと預け、今この監獄へと訪れていたのだ。
看守「囚人番号2594253、ですか。何故突然?」
土方「極秘任務だ。ここでは言えねぇ。」
看守「松平長官からの指示ですか?」
土方「…ああ。」
看守「分かりました。こちらになります。」
土方「・・・・・。」
看守に案内され、土方は監獄内の階段を下りる。
この監獄は簡単に囚人達が逃げないよう地下へと掘り下げて作られた施設だ。刑期が重い極悪犯ほど地下深くへと収容されている。『インペルダウンかよ!』新八がこれを聞けばそんなツッコミが炸裂しそうだ。
囚人番号2594253が収容されている場所は最下層だ。最下層に到着し、更に奥へ奥へと進んでいく土方達。灯りはほとんどなく、歩く先がやっと見える程度でかなり薄暗い。目当ての囚人の檻の前まで来て、土方は看守に下がるよう命じる。
看守はこの階層の入口で待っていると言って下がった。土方は檻の前で佇み、檻の中に視線を送る。檻の中に灯りはなく、囚人の顔は見えない。だが、確かにそこに囚人はおり、中から土方の方へと声をかけた。
囚人「なんだ、客人か?珍しいな。俺に何か用か?」
土方「悪いが、お前に用はねぇよ。」
囚人「だったら、何故ここに来た?」
土方「ちょいと野暮用でな。ここにも寄っておかねーと怪しまれそうだったんでね。」