第44章 生い立ちや立場が違っていれば思想も変わる。
「天使の涙?あー、あれね。作りたいのは山々なんですけど、材料がないんですよ。」
原田「材料?」
「蜂蜜です。」
銀時「んだよ、蜂蜜ぐらいいくらでもあんだろ。」
何処のスーパーでも簡単に手に入る代物である。材料が無いなら業者元へと発注をかければ済む話ではないか。そう思った銀時は呆れた顔になる。
それに対して担当者は首を横に振って困ったような顔をして見せた。
「あのお菓子は特別な蜂蜜使ってましてね。惑星NCLに採取に行かなきゃならないんですよ。」
なんでそんな非効率的な物を材料に選んだのか、銀時達には腑に落ちないものだったが、即時完売の理由が垣間見えた気がした。
そして原田は自分達が材料を採取しに行く事を条件に、臨時的に商品を作ってもらえないか交渉する。
原田「じゃあ俺達がその惑星に行って蜂蜜取って来るんで、その分だけでも作ってもらえないっすか?」
「それなら構いませんよ。」
担当者の了承を得て、何とか交渉成立である。
担当者と別れてビル内を歩く銀時達だったが、この事に銀時は不服そうだ。原田の数歩後ろを歩きながらため息をつく。そして小指で耳の穴を掻きながら言った。
銀時「なんだよ、結局俺達も よその惑星行きかよ。」
原田「まーそう言うな。蜂蜜採取だけで済むんだから簡単な方じゃねーか。」
悪魔狩りに比べたら可愛いものだ。そう言って銀時を慰めようとした原田が振り返るが、後ろに銀時の姿はなかった。
突如姿を消した銀時を探して辺りを見回す原田。銀時はすぐ近くの部屋で行なっていた新作発表会の部屋に勝手に入り込んでいた。
銀時「すいませーん。何の試食会してるんですか?」
「新作のチョコレートですよ。」
銀時「ひとつ頂けます?僕達会社見学に来たんです。」
原田「ホンット何しに来たのお前!!」
原田は銀時の首根っこを掴んで、無理矢理ビルから引きずり出した。