第43章 ミジンコにも大事な役割がある。
総悟「土方さんは勿論悪魔狩りですよね?そのまま逆に狩られちまやァいいんでさぁ。」
土方「・・・・・。」
総悟「? 土方さん?」
いつもならプンスカと怒りながら反論する土方の姿が見られるはず。だがそんな返しがない事に違和感を感じた総悟は土方の顔を覗きこんだ。
総悟「・・・・!」
何も言わない総悟を見て、今度は神楽がからかうようにプププと笑いながら言った。
神楽「お前こそ悪魔狩りでいいアル。お前が悪魔そのものネ。何なら私が狩ってやろうか?」
フゥと一つため息をつき、総悟が瞳を閉じて応える。
総悟「…ま、ここは俺しかいないですかねぃ。」
新八「沖田さん?め、珍しいですね。いつもならここで神楽ちゃんと喧嘩になるのに…。」
予想外の総悟の応対に、目を丸くしたのは新八だ。それに対して総悟は大人な対応で言葉を返す。
総悟「俺達がここで揉めてても葵咲が危なくなるだけだろぃ。一刻も早く出発しねーと、土方さんが まいっちまいそうですからねぃ。」
新八「! 土方さん…。」
そう言われて新八も土方の顔を見やる。土方は鋭い眼光でただ一点を見つめていた。その様子からはただならぬ気迫が溢れ出している。誰も声をかけてはならないような、そんな気迫だ。土方は一刻も早く葵咲を救い出す事だけを考えていた。
総悟「それに、この五つの中でこいつが一番の難関ってところでしょ。俺ぐらい強い奴じゃねぇと乗り越えられなさそうなんでね。一番隊は悪魔の涙でぃ。」
神楽「なんかムカつくアル。」
あっさりと受け入れる総悟、しかも自分の強さをひけらかすようなその態度に逆に腹を立てる神楽だった。
そして新八は恐る恐る土方に近付き、様子を窺いながら声をかけた。
新八「あの、土方さんは鍵をお願い出来ますか?特に僕達万事屋じゃ無理なので。」
土方「もとよりそのつもりだ。」
短く言葉を返し、再び沈黙を落とす土方。新八はこれ以上土方を刺激しまいと、そっとしておく事にした。
新八「あと残るは…。」
山崎「水は僕達で何とかするよ。十トンもの量は組織の力が…。」
誇らしげな顔で引き受ける山崎。ここは真選組という組織力がものをいうと思って引き受けたのだが、それを遮るように外野が口を挟む。