第43章 ミジンコにも大事な役割がある。
葵咲「そんな責任いりません!これは私の失態です!この男が来ること分かっていながら、まんまと攫われた私の失態なんです!だから、私の為に、そんなバカな真似するのはやめて下さい!!」
全ては自分の責任だ。それを大事な仲間に、しかも自分達のリーダーに尻拭いをさせるわけにはいかない。
葵咲は胸が張り裂けそうな思いになる。こんな形で仲間を巻き込みたくなかったのに…。後悔の念で押し潰されそうになった。
そんな葵咲を安心させるように、近藤は葵咲に優しい言葉をかけた。
近藤「お前の失態だろうが何だろうが、俺は仲間をみすみす失いたくはないし、汚れさせたくもねぇ。」
葵咲「近藤さん…。」
今にも溢れそうな涙を堪えながら、葵咲は近藤へと目を向けた。
そんなやり取りを見ていた古兵衛は、顎に手を当てながらにんまりと笑う。
(田中:…ほぉ。海老で鯛を釣るつもりが…まさかクエが釣れるとはなァ。)
田中「最初ミジンコが釣れそうになった時は正直焦ったが…。」
後半部分、心の声が口から出ていた。それをしっかりと聞いていた新八がすかさずツッコむ。
新八「あの、すみません田中さん。それ心の声のつもりなんですよね?最後の方、声に出ちゃってるんですけど。ミジンコって僕の事ですか?」
そんな悲しいツッコミは無視され、古兵衛が本題へと戻る。
田中「じゃあ局長サン、今から指定する場所に一人で来てよ。誰か尾行でもしようもんなら、即この爆弾、起爆させるから~。あと、材料の受け渡し場所については追って連絡する。くれぐれも、引渡しの際に俺を捕まえようなんて思わない事だね。そんな事すりゃ、この女も、局長サンの命もないと思え。」
それから古兵衛は場所について詳細な情報を告げ、一方的に通信を切った。