• テキストサイズ

銀魂 - 雪月花 -

第43章 ミジンコにも大事な役割がある。


新八の思いは痛い程よく伝わってきた。それ故に誰も口を挟めず、辺りに静かな沈黙が下りる。古兵衛も何も言わずにその情景を見つめていた。
新八が人質となる為に更に一歩前へ進み出ようとしたその時、新八の肩を掴み、それを止める者がいた。


近藤「いや、駄目だ。真選組は市民を守る為の警察だ。その警察が関係ない市民に…ましてやお妙さんの大事な弟君を巻き込むわけにはいかん。」

新八「近藤さん…。ですけど・・・・。」


新八が全てを言い終わる前に、近藤が言葉を続けた。


近藤「その役目、俺が担おう。」

「!?」


その申し出には土方が、いの一番に反論する。


土方「何言ってんだ!アンタは俺達の頭だぞ!アンタは行くべきじゃねぇ!俺が…。」


勿論、他の真選組隊士達も同じ意見だった。他の隊士達も近藤を止めに入る。
だが近藤は首を横に振って周りの者達に視線を送った。


近藤「頭だからこそだ。」

土方「!」


真剣に返される近藤の瞳に、土方はたじろいでしまう。近藤は腕組みをし、地面に視線を落とした。


近藤「今回葵咲をこんな危険に晒してしまった責任は俺にある。俺が責任を取らねぇとな。それに鍵を手に入れるにはトシ、お前の知恵が必要だろう。俺は幕府から借りられるだけの理由を思いつかん。お前なら、出来るだろ?」

土方「・・・・・。」


再び土方の方へと向けられる近藤の視線に、土方もまた真剣な眼差しを返す。
二人が無言で意思疎通を行なっていると、葵咲がそれに割って入るように悲痛な叫び声を上げた。
/ 1377ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp