第43章 ミジンコにも大事な役割がある。
土方は画面越しに古兵衛の目を見据えながら一つ質問を投げかけた。
土方「・・・・お前、何でそこまで葵咲に執着する?」
ただ偽の鍵を掴まされない為の脅し文句には思えなかった。
むしろ鍵よりも葵咲を始末する事を目的としている、そう思えたが故の質問だった。
だがこの質問に対して古兵衛はいつものヘラヘラ顔へと戻り、とぼけた様子で応える。
田中「んー?別にィ~。強いて言うなら、アンタらが執着してるからかな?面白いからさァ~。からかうのが。ククッ。」
銀時「・・・・・。」
田中「さて。これ以上無駄話してても仕方ないし、話進めるよ~。」
そう言って古兵衛はカメラに背を向け歩き出す。そして二、三歩進んだところでくるりと回り、再びカメラへと視線を向けた。
田中「制限時間はァ~、そうだな、出血大サービスで五日やるよ。五日ありゃあこれらの星を往復出来るし、合鍵も作れんだろ?五日後の午前零時、俺が指定する場所に今言ったもの全部集めて来い。そうしたら、この女は解放してやる。」
土方「・・・・・。」
特に口は挟まず静かに聞いていた土方。その様子を見て古兵衛はクスリと笑う。
そして不敵な笑みを浮かべながら補足した。
田中「あ~、それからこれは余談になるけど~、生かして返す保障があるだけだからね?」
近藤「? どういう事だ?」
“ただ返す保障がある”というのなら生死問わずという意味合いがある。だが古兵衛は“生かして返す”と言った。それが約束されているなら十分ではないのか?近藤が怪訝な顔になる。
その顔を見て古兵衛は葵咲の横にしゃがみ込み、葵咲の顎をぐいっと引いて、自分の方へと向かせた。古兵衛は葵咲に顔を近付けていた為、唇が重なりそうになる。
古兵衛はそのままの状態で目線だけは近藤達、正確にはカメラの方へと向けて笑いながら言った。
田中「五日間な~んにもしないで待つなんて退屈だろ?俺も一応男だからさァ。待ってる間、ご奉仕してもらおうかな~って♡」
「!?」