第42章 余計な一言を言う奴は嫌われやすい。
どうやら一方的に映し出されている映像ではなく、ライブチャットとなっているようだ。
葵咲は地面に座った状態で柱に縄で縛り付けられていた。しかも葵咲のお腹の辺りにはご丁寧に爆弾が巻きつけられている。それを見た土方達は凍りついたように画面に釘付けになる。
葵咲を一刻も早く助け出す為に、葵咲の周りの様子に目を向けた。この場所は一体何処なのか、何か目印になるような物がないかと必死に目を凝らす。だが周囲はとても薄暗く、何も見つける事が出来なかった。
土方は悔しそうに舌打ちする。すると、画面上の葵咲との間にぬっと人影が割り込んできた。
田中「やァやァ、久しぶりィ~、鬼の副長サン♡ それにお仲間さん?」
土方「田中古兵衛っ!てめぇ…!!」
ヘラヘラと登場した古兵衛に、土方は怒りを抑えきれない。だがそんな土方の形相を古兵衛は待ち望んでいたかのように大声で笑って喜ぶ。
田中「アハハ♪予想通りの表情、頂きました~♪」
土方「そいつを返せ!!」
葵咲の姿を遮り、カメラの前を陣取っていた古兵衛だったが、ここでくるりとカメラに背を向け、葵咲の傍へと足を向ける。そして葵咲の顎をぐいっと持ち上げ、横に顔を並べてカメラの方へと視線を向けた。
田中「ククク。ねェ、そ~んなにこの女が大事なの?」
土方「あたりめぇだろ、そいつは…。」
土方が喋っている最中、その先の言葉を遮るように古兵衛が割って入る。
田中「“真選組の仲間”だから?ホントの理由はそれじゃないんじゃないの~?」
土方「アァ?」
言っている意味が分からないといった様子で眉間にしわを寄せる土方。その反応を見て、面白がるように古兵衛が告げる。