第42章 余計な一言を言う奴は嫌われやすい。
一先ず現場を収集し、状況を整理する為にも土方は真選組隊士達に、このターミナルへと集まった人々に帰るよう案内させた。
近藤、土方、総悟、その他真選組の隊長格の者達、そして万事屋の三人は一度その場から出て、ターミナル内にある会議室へと移動する。
この会議室は普段ターミナルの従業員が使用している部屋だ。関係者以外が立ち入る心配もない。
今起こっている出来事を順に確認しようとしたその時、山崎が息を切らせて駆けつけてきた。
山崎「副長~~~!!」
土方「どうした、山崎!!」
山崎「こ、これが…ついさっき屯所の方に送られてきたんです!」
山崎は現場警備には来ていなかった。山崎だけではない。真選組の数名が屯所で待機していた。
田中古兵衛の狙いが分かり兼ねた今回の事件、土方達は真選組が全員出動する事により、屯所が狙われる事も懸念したのだ。屯所内には重要機密情報もある。それが搾取されない為の配慮である。
その事が吉と出たのかは微妙なところだが、屯所で待機している山崎達のもとへ、とある郵便物が送られてきた。差し出された“郵便物”の中身を見て、土方は声を上げた。
土方「iPad?…それにメモか…。田中古兵衛!!」
送り主は古兵衛だった。同封されていたメモに、ご丁寧に直筆でサインしていたのだ。
iPadを手に、土方は近藤や山崎と目を合わせ、無言で頷く。唾をごくりと飲み込んで、ゆっくりとiPadの電源を入れた。
立ち上がったiPadに映し出されたのは、拘束されている葵咲の姿だった。葵咲の姿を見た土方は思わず叫ぶ。
土方「葵咲ァァァ!!」
葵咲「土方さん!?」