第41章 超長距離移民船団はみんなの憧れ。
そして葵咲はその時の状況について詳しく説明する。
バイクで乗り付けてきた事、高杉から話を聞いていたと言われた事。そうして古兵衛はそのまま名乗りもせずに帰ってしまった事…。
それを聞いた土方は、煙草の煙を吐き出しながら眉根を寄せて唸った。
土方「奴は何しに来たんだ?」
葵咲「私に会ってみたかったって言ってました。」
土方「・・・・・。」
謎の行動が多い田中古兵衛。目的がさっぱり読めない。
土方は考え込むように更に唸り、腕を組む。そんな土方を尻目に、葵咲は申し訳なさそうな顔を浮かべた。
葵咲「すみません、その時はまだ“人斬り古兵衛”の事を知らなくて…。相手に戦意はなかったのでそのまま帰してしまいました。」
近藤「いや、お前が無傷ですんだんだ。それが何よりだろう。」
田中古兵衛は“人斬り古兵衛”の異名を持つ凄腕の攘夷志士。戦っていれば、いくら腕の立つ葵咲と言えど、無傷では済まなかっただろう。その事を考えて近藤は心からほっとしたように葵咲に笑顔を向けた。
それ以上は話し合っても答えが出ないと考えた四人は、一先ずこの話を打ち切りとする。
土方「とにかく、奴は攘夷浪士の中でも猟奇的な男だ。そして、今の話からしても一番読めねぇ男でもある。くれぐれも…無茶だけはすんなよ。」
葵咲「…はい。」
四人は詳しい作戦の内容、計画について話し合った後、解散した。