第41章 超長距離移民船団はみんなの憧れ。
後日、真選組は念の為に密かに広場の警備を強化して待機。すると古兵衛の言ったとおり、暁党の連中がその場に現れた。情報はガセじゃなかったのだ。
近藤はその事を思い出しながら、胸のうちにある“しこり”を葵咲に問いかけた。
近藤「葵咲、お前を疑うわけじゃないが、一つ聞かせてくれ。田中古兵衛とお前は何か関わりはあったのか?」
葵咲「いえ。田中は吉田松陽の教え子ではありません。」
間髪いれずに返答し、しっかりと見据えられる葵咲の瞳からは嘘偽りは感じられない。三人は葵咲の言葉を素直に受け取った。
そして葵咲は続ける。
葵咲「私は彼とは面識はあります。でもそれはつい最近の事です。初めて会ったのは局長が伊東さんに襲われた時。列車の走る後方で攘夷浪士を討伐していた時です。」
近藤「! お前、あの男を撃退したのか!?」
攘夷浪士と対峙していた時に現れた田中古兵衛。古兵衛も攘夷浪士である為、戦闘の末に撃ち勝ったのだと近藤は捕らえたのだ。
誤解を招くような発言をしてしまった事に、葵咲は慌てて訂正を加える。
葵咲「あ、いえ…。対面はしましたが、剣は交えませんでした。」