第41章 超長距離移民船団はみんなの憧れ。
今までと少し様子の違う古兵衛を見て、土方は少し冷静さを取り戻す。
近藤も土方を放し、古兵衛に目を向けた。
田中「大江戸病院の近くに広場があるだろ?あそこで十日後の正午、暁党の連中が暴れる手筈だ。」
「!?」
突然語られる攘夷志士のテロ活動予告に、二人は驚きの表情を隠せない。
近藤達がその場に佇んでいると、古兵衛は口元に笑みを浮かべたまま小首をかしげて二人の顔を覗きこむ。
田中「ん~?どうしたの?メモ取らないの~??」
土方「…そんな話、信じられると思ってんのか?」
驚きの表情を改めて、今度は古兵衛を睨みつける。その様子に古兵衛は不服そうだ。
田中「おいおい。なんだよ、お前らが俺を尋問して喋れっつったんだろ~?折角喋ってやったのに信じねぇってどういう了見だよ。」
確かに真選組は暁党のテロ活動について尋問するつもりだった。だが、こうもあっさり話されては、この発言が疑わしく聞こえる。
ガセなのか?それとも真実なのか…。裏の裏をかいて真実、裏の裏の、そのまた裏をかいて偽情報か。考え出すときりがない。永遠のループに陥ってしまう…。
近藤と土方が答えの出ない考えを巡らせていると、取調室の扉を申し訳程度に開き、山崎がひょっこり顔を出して話しかけた。
山崎「あの~…、十日後のその場所って確か、選挙演説の予定が入ってましたよね?」
近藤・土方「!」
田中「ククク、まぁ信じる信じないはアンタらの勝手さ。」
そうして田中古兵衛の取調べは終わった。