第4章 自分のドッペルゲンガーじゃなければ多分死なない。
総悟が何も言えずにいると、葵咲の方から話題を振ってきた。
葵咲「それより私は沖田さんの話が聞きたいな。お姉さんの話とか。」
姉の事を聞かれて嬉しく思った総悟は、笑顔で答えた。そしてその日はほとんど姉の話をして一日を終えたのだった。葵咲と別れるのは名残惜しかったが、日も暮れてきて、そろそろ屯所に戻らなければならない時間だ。総悟は葵咲を妙の家まで送り届けた。
葵咲「今日は何もなくて良かったですね。」
総悟「はい。…また、お願いしてもいいですかぃ?」
断られてしまったらどうしよう、内心少し不安を抱えつつも、聞かずにはいられなかった。
葵咲「えぇ、勿論。お待ちしてます。」
明るい笑顔でそう答えてくれた葵咲に対して礼を言い、総悟はほっと胸を撫で下ろして真選組屯所の方へと足を向けた。総悟は少し進んだ先で道を曲がる際、恒道館道場の方へ振り返った。そこにはまだ葵咲の姿があり、自分の姿を見送ってくれている。振り返った総悟の姿を見た葵咲は、総悟に向かって手を振った。それを見た総悟は葵咲に手を振り返して道を曲がり、屯所へと帰っていった。