第41章 超長距離移民船団はみんなの憧れ。
田中「おかえりなさ~い♡」
部屋に入ってきた土方の姿を見た古兵衛は笑顔を作る。土方はそれには応えず、古兵衛の前の椅子に腰掛けた。近藤もまた、土方の後を追って取調室へと入り、土方の横へと腰掛ける。
土方「お前、何処まで知ってる?」
田中「ん~?何の話かな~??さっきはアンタの部下が勝手に口滑らしたんだろ?俺は妄想を並べただけだったのにさ~。」
土方「・・・・・。」
とぼける様子の古兵衛を睨み倒す土方。
これには古兵衛も“参った”という様子で視線を逸らす。
田中「おぉ~恐い恐い。鬼の副長って呼ばれは伊達じゃないねぇ~。悪ふざけがすぎたって。単に俺は情報通なんだよ。」
その言葉を聞いて土方は間髪要れずに問い詰める。
土方「だったら喋れ。うちの女隊士について何処まで知ってる?」
田中「あれれ~?暁党の話じゃないの~?」
土方「いいからお前は俺の質問にだけ答えろ。」
田中「クククク。俺がアンタのお仲間さんについてなんて知ってるわけないだろ?俺よりアンタの方が知ってんじゃないの??」
静かな睨み合いが続く土方と古兵衛。二人の間には見えない火花が散っていた。
その重苦しい空気に、近藤は内心ヒヤヒヤする。
近藤が土方と古兵衛とを交互に見比べていると、古兵衛が挑発するように土方の目を覗き込みながら言った。
田中「それともアンタ…自分の仲間の事、なぁんにも知らないの~??」
土方「っ!」
田中「まさかとは思うけどォ~、仲間の素姓も知らずに背中預けてた~なんて、馬鹿な事あるわけないよねェ~~~??」
土方「てめぇ…!!」
この言葉には流石の土方もカッとなって思わず立ち上がる。
近藤は慌てて土方の背後に回り、羽交い絞めにするようにわきの下から腕を回して押さえつけた。
近藤「トシ!落ち着け!!」
田中「アッハハハハハ。」
土方「ぐっ!!」
思わず古兵衛に殴りかかりそうになる土方だが、近藤の制止で何とか思いとどまった。