第41章 超長距離移民船団はみんなの憧れ。
山崎は取調室の外で今しがた小声で話された会話の内容を近藤達に話した。
山崎「す、すみません。まんまと奴の口車に…。」
自分の発言は失態だったと感じている山崎。酷く落ち込んだ様子で肩を落としていた。
葵咲の存在を隠す為に命じられた女装での取調べだ。先程の古兵衛の発言から、古兵衛が葵咲の事を最初から知っていたのは明らかだが、自分の迂闊な発言によって、それを真選組が認めてしまう形になってしまった。古兵衛は真選組の確かな証言を求めた為に、あのような猿芝居を打っていたのかもしれないと思うと、余計に悔しく思った。
そんな山崎に対して、近藤は山崎の肩を軽くポンと叩いて首を横に振った。
近藤「いや、あの男は元々知っていたんだ。気にするな。奴は俺達を手のひらの上で転がして楽しんでるんだろうよ。」
山崎が悔しがっている理由を近藤は分かっていた。だがこの近藤の発言は単なる慰めではない。古兵衛は真選組から情報を得る事も目的の一つだったかもしれないが、それ以上にただ単に楽しんでいる愉快犯だと思えた。
そしてそれは土方や総悟も同じ意見だった。総悟は舌打ちをしながらマジックミラー越しに古兵衛を睨んだ。
総悟「けっ、掴まってる側だってのに余裕だな。」
土方「・・・・・。」
他の三人も古兵衛を睨みつける。そして近藤は悩むように唸った。
次は誰が行くか?山崎にもう一度行かせたところで意味がない。かといって、自分や土方が出て行って良いものだろうか?それこそ奴の思う壺なのでは??
色々な考えが頭の中を駆け巡る。だが次の瞬間、土方が何も言わずに取調室のドアを開けた。
近藤「あ、おい、トシ!」