第40章 隠し事は案外バレている。
先日の葵咲の涙を知っている土方は沈黙を落とす。葵咲の中にはまだ“晋ちゃん”がいるのだと、その表情を見て察したからだ。
土方は少し寂しそうな表情で葵咲を見つめていた。
そして近藤が畳の上に両手をつきながら、頭を下げる。
近藤「葵咲、本当にすまない…。俺達に力がないばかりに・・・・!!」
葵咲「近藤さん!顔を上げてください!」
突然の謝罪に、葵咲は狼狽して近藤の肩に手を置く。
そして近藤の顔を覗き込みながら笑顔を見せた。
葵咲「何言ってるんですか。逆でしょう?近藤さん達に力があったからこそ、皆さんが尽力してくれたからこそ、今私はここにいる。こうして生きているんです。…元々、捨てようとしていた命です。大義名分として捧げられるなら本望ですよ。」
近藤「葵咲…。」
総悟「・・・・・。」
向けられる優しい笑顔に、近藤は顔を上げて唇を噛んだ。隣に座っていた総悟も悔しそうな顔を浮かべ、土方も目を伏せている。
葵咲は先程座っていた位置へと戻り、正座して姿勢を正した。
葵咲「さぁ本題に戻りましょう。作戦の概要を教えて貰えますか?」
凛とした葵咲の姿を見た土方は小さく吐息を漏らした後、仕方なく本題へと入る。